
「厚揚げ」と「生揚げ」、別々の商品だと思っていませんか。実はこの2つ、基本的には同じ豆腐の加工品なんです。
違うのは主に呼び方。地域によってなじみのある名称が分かれているため、料理名や売り場で迷うことがありますよね。今回は、厚揚げと生揚げの違い、呼び方が分かれる理由、さらに料理に合わせた使い分けまで、わかりやすく紹介します。
厚揚げと生揚げは基本的に同じもの
豆腐の表面を揚げた加工品
厚揚げとは、水切りした豆腐を比較的厚い状態のまま油で揚げたものです。表面は香ばしく、中は豆腐らしいやわらかさが残っています。
一般的には木綿豆腐を使うことが多いものの、絹ごし豆腐を使った「絹厚揚げ」や「絹生揚げ」と呼ばれる商品もあります。外側の食感や内側のなめらかさに違いが出るため、好みで選べるのも楽しいところです。
「生揚げ」と呼ばれる理由
生揚げは、豆腐の中まで完全に揚げ切らず、表面を揚げた状態を指す呼び方です。油揚げのように薄くのばして全体を揚げるのではなく、豆腐の形や厚みを残しているため、「生の部分が残った揚げ物」という意味合いで生揚げと呼ばれます。
つまり、厚揚げは見た目や厚みに注目した呼称、生揚げは製法に注目した呼称と考えると理解しやすいでしょう。店によって表示が違っても、同じタイプの食品であることがほとんどです。
油揚げや薄揚げとは別の食品
ここで注意したいのが、油揚げとの違いです。油揚げは豆腐を薄く切ったり、薄い形に成形したりしてから揚げるため、内部までふくらんで空洞のようになります。
一方、厚揚げや生揚げは豆腐の厚みを残して揚げるもの。外側は香ばしく、中には豆腐の食感が残ります。関東で油揚げと呼ぶものを、関西では「薄揚げ」と呼ぶことがある点も、名称の混乱につながりやすいポイントです。

呼び方が分かれるのは地域差が大きいから
関東では「生揚げ」が定着
関東では、厚揚げを「生揚げ」と呼ぶ地域や家庭があります。豆腐店や昔からの料理名で生揚げという表現に親しんできた人なら、こちらのほうが自然に感じるかもしれません。
煮物の材料を買うときに「生揚げを買ってきて」と言われても、別の商品を探す必要はありません。売り場では「厚揚げ」と表示されていることも多いので、形や原材料を見て選べば大丈夫ですよ。
関西では「厚揚げ」が一般的
関西では、厚揚げという呼び方が広く使われてきました。名前の通り、薄い油揚げと区別しやすく、厚みのある豆腐の揚げ物だとすぐに伝わる名称です。
ただし、現在は地域を越えて食品が流通し、料理情報も全国で共有されています。そのため、関東でも厚揚げという表示や呼び方が増えていますし、関西で生揚げという言葉が通じないとも限りません。昔ながらの地域差は残りつつ、呼び方は少しずつ混ざっているようです。
名前より商品表示を確認すれば安心
「厚揚げと生揚げは本当に同じなの?」と迷ったときは、パッケージの表示を確認しましょう。豆腐を揚げた商品で、厚みがあり、内部に豆腐の部分が残っていれば、一般的な厚揚げ・生揚げにあたります。
商品によっては、木綿タイプ、絹タイプ、ひと口サイズ、焼き目付きなど、名前以外の違いがあります。料理では呼称よりも、食感や大きさを選ぶほうが失敗しにくいですよね。
料理によって厚揚げと生揚げを使い分ける方法
煮物には木綿タイプ
だしを含ませる煮物なら、木綿豆腐を使った厚揚げが向いています。豆腐の組織が比較的しっかりしているため、煮込んでも形が崩れにくく、外側の香ばしさと中の豆腐が料理によくなじみます。
大きめに切れば主役らしい存在感が出ますし、小さく切れば大根やにんじんなどの具材とも合わせやすくなります。甘辛い煮汁、味噌味、めんつゆベースなど、味付けを選びにくいのも魅力です。
焼き物や炒め物には水分の少ないタイプ
フライパンで焼く、野菜と炒めるといった料理には、表面がしっかりしている商品を選ぶと扱いやすくなります。焼く前にキッチンペーパーで表面の水分と油を軽く押さえるだけでも、焼き色がつきやすくなります。
厚揚げをそのまま焼いて、しょうゆや薬味を添えるだけでも一品になります。ねぎ、しょうが、かつお節、チーズなど、身近な食材を合わせるだけで味の印象が変わるんです。
絹タイプはなめらかさを楽しむ
絹ごし豆腐を使った絹厚揚げや絹生揚げは、内側がなめらかでやわらかな食感です。煮物に使う場合は、混ぜすぎたり強く煮立てたりすると崩れやすいため、具材を動かしすぎないのがコツになります。
さっと焼いてだしをかけたり、温めてあんを添えたりすると、口当たりのよさが引き立ちます。木綿タイプのしっかりした食感が好みか、絹タイプのやさしい食感が好みか。ここは料理より、好みで決めてもよい部分です。

厚揚げ・生揚げをおいしく調理する手順
まずは油抜きをする
購入した厚揚げや生揚げは、そのまま使える商品が多いものの、表面の油が気になるときは油抜きをしましょう。熱湯を回しかける方法、熱湯で短時間ゆでる方法、キッチンペーパーで押さえる方法があります。
しっかり油を落としたい煮物なら熱湯を使い、焼き物なら表面を押さえる程度でも十分です。油抜きによって味が入りやすくなり、料理全体が重たく感じにくくなることがあります。
食べやすい大きさに切る
切り方は料理に合わせて変えます。煮物なら三角形や大きめの四角形、炒め物なら短冊形やひと口サイズにすると、ほかの具材と合わせやすくなります。
表面に切り込みを少し入れると、味がしみ込みやすくなる場合があります。ただし、絹タイプは切り込みを深く入れすぎると崩れやすいので、包丁を寝かせて軽く筋をつけるくらいが安心です。
焼く・炒める・煮るを使い分ける
香ばしさを出したいなら、油を多く使わず、フライパンや魚焼きグリルで表面を焼きます。両面に焼き色がついたら、しょうゆ、みそ、ポン酢などを添えるだけで、手軽なおかずになります。
煮物では、だしや調味料を含ませる時間が味の決め手です。最初から強火にせず、煮汁が静かに動く程度で加熱すると、形を保ちながら中まで味が入りやすくなります。忙しい日は、電子レンジで温めてから焼く方法も便利ですよ。
厚揚げと生揚げに関するよくある質問
Q1. 厚揚げと生揚げは完全に同じですか?
一般的には、ほぼ同じ豆腐加工品を指します。地域や店によって呼び方が違うだけで、厚みのある豆腐を表面だけ揚げた食品という点は共通しています。
ただし、木綿か絹か、厚みや形、製造方法などは商品ごとに異なります。名前だけで判断せず、パッケージの原材料や商品説明を確認すると確実です。
Q2. 厚揚げはそのまま食べてもよいですか?
市販品には加熱済みのものが多く、温めずに食べられる商品もあります。ただし、商品ごとに扱いが異なるため、パッケージに加熱方法の案内がある場合はそちらを優先してください。
そのまま食べる場合でも、焼いたり温めたりすると香ばしさが増します。しょうゆやポン酢、薬味を添えれば、短時間で食卓に出せる一品になりますよ。
Q3. 厚揚げは冷凍保存できますか?
冷凍は可能ですが、解凍後は豆腐の水分が抜けて、食感が少し変わることがあります。その変化を生かして、煮物や炒め物に使うと味が入りやすく感じられる場合もあります。
保存するなら、食べやすく切って水分を拭き、密閉できる袋に入れて冷凍します。使うときは冷蔵庫で解凍するか、凍ったまま煮汁に加え、中心までしっかり温めてください。
厚揚げと生揚げは、名前こそ違っても基本的には同じもの。関東では生揚げ、関西では厚揚げという呼び方が定着してきましたが、現在は地域を越えて「厚揚げ」と呼ばれる場面も増えています。
選ぶときは、呼び名に迷いすぎなくて大丈夫です。木綿タイプで煮物、しっかりしたものを焼き物、絹タイプをなめらかな料理に使う。まずはこの考え方を覚えておけば、厚揚げ料理はぐっと身近になりますよ。

